こんにちは、山田まみこです。
20代前半で海外起業し、現在も経営に携わっています。
ブログ『女社長の思考術』では、起業家としての経験や考え方
実践的なアイデアをシェアしていきたいと思います。
今日は「三方よしのビジネス哲学とは?」についてお話ししたいと思います。
「三方よし」という言葉は、
近江商人によって古くから受け継がれてきた、ビジネスの基本的な考え方です。
この哲学は、ビジネスが成功するためには、
関係する三者すべてが満足できることが重要だという考えに基づいています。
三方とは、「売り手」「買い手」「世間」を指し、
これら三者がすべて「よし」、つまり良い状態であることが目指されます。
三方よしとは?現代ビジネスにおけるその重要性
三方よしは単なる道徳的な概念にとどまらず、
持続可能なビジネスモデルを築くための重要な要素です。
これは、ビジネスが成功するためには、一方的な利益追求ではなく、
社会全体との調和が必要であることを示唆しています。
現代においても、企業はただの利益の最大化を目指すのではなく、
社会的な責任を果たしながらビジネスを展開する必要があります。
三方よしの三つの柱「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」
「三方よし」は具体的に、以下の三者が満足することを指します。
売り手は商品やサービスを提供する企業や事業主です。
「売り手よし」とは、提供する商品やサービスから得る利益がしっかりと確保され、
ビジネスが持続可能なものであることを意味します。
ビジネスを運営するためには、まず売り手自身が利益を上げることが重要です。
利益が出なければビジネスは続かず、結果として社会や買い手にも良い影響を与えられません。
買い手は、商品やサービスを購入する顧客です。
「買い手よし」とは、顧客が商品やサービスに満足し、価値を感じることを指します。
顧客満足が高まれば、リピート顧客を獲得でき、口コミで新たな顧客も増えていきます。
買い手が満足しなければ、長期的なビジネスの成功はあり得ません。
「世間よし」は、企業が属する社会全体に対して良い影響を与えることを意味します。
企業が社会的な責任を果たし、地域や環境に対してポジティブな貢献を行うことで、
企業の信頼性が高まり、長期的な発展が可能となります。
世間に悪影響を与えるビジネスは、短期間の成功を収めるかもしれませんが、
最終的には批判や制裁を受けてしまう可能性が高いです。
三方よしを海外でのビジネスに取り入れた私の経験
三方よしという哲学は日本国内だけに通用する哲学ではありません。
タイで事業を開始した際に、三方よしを取り入れた私の経験を事例としてお話ししたいと思います。
事例1 – お客様に喜ばれるサービスの提供
タイで事業を開始してから最初の数年間、
私たちのサービスが現地のお客様の期待に応えられない場面がいくつかありました。
その一つのケースが、ある日系大手企業とのプロジェクトです。
この企業はタイ市場に新たな製品を導入するため、私たちにサポートを依頼してきました。
プロジェクトの開始当初は順調に進んでいましたが、
途中で現地スタッフの調整や、物流の問題により進行が滞り、
プロジェクトが大幅に遅れてしまいました。
顧客からは、
「タイ市場に早く参入したいのに、準備が遅すぎる。日本国内のサービスと比べてスピード感がない」
とのクレームを受け、私自身も非常に焦りを感じました。
このままでは信頼を失い、次のビジネスチャンスを逃してしまう恐れがありました。
そこで、すぐに改善策を講じました。

まず、プロジェクト管理の効率化を図るため、
業務プロセスを全面的に見直し、社内の連携強化に努めました。
新たなプロジェクト管理ツールを導入し、
各タスクの進行状況をリアルタイムで把握できるようにしました。
また、お客様とのコミュニケーションを密にし、定期的な進捗報告を行うことで、
双方の期待をしっかりとすり合わせるようにしました。
最終的には、当初の遅延を取り戻し、プロジェクトは無事に完了しました。
お客様からも
「当初の不安はあったものの、最終的には良い結果が出た」
と評価され、信頼を取り戻すことができました。
この経験を通じて、
「売り手よし、買い手よし、世間よし」の三方よしの精神が、
ビジネスの成功に直結することを改めて実感しました。
事例2 – 社員の成長を重視した経営方針
タイでのビジネスを展開する中で、現地スタッフの育成に力を入れることが、
事業の持続的な成長につながるという確信を持つに至りました。
これはタイのみならず、他の国でも事業を展開し、
持続的に成長させる上でも重要だと実感しています。
特に、現地スタッフの多くは新しいスキルや知識を学ぶ機会が限られているため、
会社として積極的に学びの場を提供し、かつ実践する場を提供することが重要です。
例えば、入社して数年経ったAさんは、最初は主に事務作業を担当していました。
彼は非常に真面目で、一つ一つの業務に対して丁寧に取り組む姿勢が印象的でした。
しかし、彼の潜在能力にもっと大きな可能性を感じ、
ある日、彼に新しい挑戦を提案しました。
それは、マーケティング部門での
新製品のプロモーション活動をリードする役割を担ってもらうことでした。
Aさんは初めは不安を感じていましたが、
私たちは研修やセミナーを通じて彼のスキルアップを支援しました。
また、学んだことを現場である実践の場で意識して使ってみるよう提案をしました。

その結果、彼はマーケティングに関する新しい視点を学び、
それをプロジェクトに積極的に活用しました。
彼が担当したキャンペーンは成功を収め、
新製品の売上は予想を上回る結果となりました。
このように、社員の成長をサポートし、新たなスキルを身につけさせることで、
会社全体の成長を促すことができました。
これもまた、「社員よし」という考えが
「世間よし」につながる良い例だと思います。
社員がやる気を持ち、成長する環境を提供することが、
結果として会社の長期的な成功に寄与するのです。
事例3 – 社会貢献活動を通じた地域への還元
タイでは2011年に大きな洪水の被害がありました。

この時私たちは、社会貢献活動の一環として、
被災した地域の支援を行うことを決めました。
特に目を向けたのが、被災地にある小学校でした。

その小学校は洪水の影響で、校舎の一部が壊れ、
学用品も流されてしまうなど、教育環境が大きく損なわれていました。
私たちはこの状況を知り、すぐに社内で募金活動を行い、
社員一人一人が自発的に協力しました。
集まった資金を使い、学校に新しい机や椅子、教科書などの学用品を寄付しました。

通学用のカバンと計算帳を寄付しました。
また、私たちは物資の提供だけでなく、現地の学校を訪れ、子どもたちとの交流会を開きました。
その際、子どもたちが笑顔で「ありがとう」と言ってくれたことは今でも忘れられません。
この経験は、単に物質的な支援を行うだけでなく、
地域社会との信頼関係を深めることが、
企業の社会的責任として非常に重要であることを強く感じさせました。
また、地域社会への貢献が「世間よし」という三方よしの一環であると再確認しました。
現在でも、スラム街の学習支援などを会社として行っています。
これら活動を通じて、地元社会とのつながりが強化され、
地域からの信頼を得たことは、今後のビジネス展開にも良い影響を与えています。
このようにして、「三方よし」の精神を具体的なビジネス活動に取り入れ、実践することで、
持続可能なビジネスモデルを築き上げていくことができると考えています。
まとめ~三方よしの精神を未来のビジネスに活かす
「三方よし」の精神は、未来のビジネスにおいても非常に重要です。
これからの企業は、単なる利益追求ではなく、
社会や環境への影響を考慮しながらビジネスを展開することが求められます。
この考え方が浸透すれば、企業は持続可能な成長を遂げることができ、
社会全体も豊かになっていくでしょう。
三方よしの精神
「売り手よし、買い手よし、世間よし」という考え方が、持続可能なビジネスを実現する。
お客様との信頼関係
迅速な対応と適切なコミュニケーションが、顧客満足度を向上させ、信頼を築く。
社員の成長支援
社員のスキルアップを支援し、個々の成長が会社全体の成功につながる。
社会貢献活動
地域社会との関わりを大切にし、社会的責任を果たすことで、信頼と支持を得る。
長期的な視点
短期的な利益だけでなく、長期的なビジネスの成功を見据えて行動することが重要。
今日の「三方よし」の記事が皆様のお役に立てれば幸いです。